『雨、逃げ出した後』
最終安全装置が解除され、EVAの機体が揺らぐ。
緊張で表情を硬くしたシンジの初めての戦いが刻一刻と迫る。
「エヴァンゲリオン初号機、
リフトオフ!」
「今は歩くことだけを考えて」というリツコの言葉に従い、一歩踏み出す初号機。
リツコは思わず「歩いた!」と声を漏らす。
しかし、二歩目を踏み出した途端、初号機はバランスを崩し転倒してしまう。
倒れた初号機を掴み上げた使徒は、初号機の左腕をへし折る。
初号機の損傷をシンジの身に直にフィードバックされ、シンジの左腕に激痛が走る。
一瞬で修羅場となったシンジ。
されるがままの初号機に、使徒は容赦なく光の槍を打ち込む。
激しい衝撃が初号機の頭部を貫き、シンジのうめき声が響く。
その衝撃と痛みに、シンジは右目を押さえたまま身を縮めるだけだった。
ついに初号機の頭部に亀裂が発生し、このままでは装甲が維持できないとリツコの顔に焦りが見える。
使徒の光の槍がついに初号機の頭部装甲を破壊。
機体ごと後方へ弾き飛ばされビルに激突。
槍を引き抜かれ、初号機の頭部からは真っ赤な液体が噴出。
戦況の悪化に焦りを隠せないNERV本部。
ミサトはシンジの生死の確認がとれない最悪の事態に、作戦の中止を決断する。
「ここまでね・・・
パイロット保護を最優先」
ビルにもたれかかったままの完全に沈黙した初号機。
シンジの乗るエントリープラグの強制射出を命じるミサトだが、制御不能と伊吹マヤが叫ぶ。
エントリープラグが射出されなければ、シンジの命が危うい。
ミサトは愕然と立ち尽くす。